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おもためコラム

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夢をかなえるためのライフスタイル(4)

人間は誰でも潜在的な冒険家

この間、私の勤務していた学校の同窓会で、スキーヤー、冒険家の三浦雄一郎さんの講演会がありました。
2003年5月、エベレスト登頂に成功、エベレスト登頂の世界最高年齢記録(70歳)を樹立した方です。「エベレストは歩いて登れる宇宙」といわれるほど高く険しい山です。もしエベレストがあと1000メートル高かったら、人間は宇宙服みたいなものを着用しなければ行かれないところなのです。 8848メートルのエベレストの頂上だと沸点が70度以下で、これがもう少し高度が上がって、沸点が4,50度になったら、人間の体温も40度ぐらいに上がるから、血液が蒸発してしまうわけです。7500メートルから上は死の地帯といわれていて、生き物の生存限界を超えているそうです。

三浦さんはお話でこんなことをおっしゃっていました。
「トレーニングというものは、どの山でやってもつらい。5000メートルの山に登ってもつらかった。脂汗が出て息も上がりしんどい。でも結局、どこへ行ってもつらいんです。レベルが上がれば上がるほど厳しくなってきます。」
しかも誰も資格審査をしてくれない世界ですから、自分自身でエベレストに登る資格があるかどうか判断しなければならないのです。生命がけの山だけに基本的な自己管理というものが必要になるわけです。

三浦さんは準備に実に五年の歳月をかけています。まずは「デブから脱出すること」。足には砂鉄のつまった5キロの重しをつけ、靴は2キロ、片足7キロ、両足で14キロ。寝ているとき以外ははずさないそうです。怠けがちな自分に足かせをはめ、過程を楽しむ心をもって面倒がらずにやるという、前向きな生き方に感動しました。

「ロープウェイで来た人は、登山家と同じ太陽を見ることはできない」とアラン(フランス人。生涯を一高校教師として送った)が言っています。
登山家は麓から一歩一歩よじ登り、わざわざ危険な崖を求めて、自分の力を試しつつ頂上までやってきました。だから登山家にとって山頂の風も雲も雪景色もすべて勝利のしるしであり、ごほうびなのです。電車(ロープウェイ)で山頂まで行った人にとっては、ただの風、ただの雲、雪景色でしかありません。

スポーツマンは力と技を争うのが仕事です。この場合、大抵肉体的なストレスを伴います。スポーツマンはこのストレスを克服する過程を楽しむようです。しっかりした足取りで出発した人間は、みんな目的地にたどりついています。しっかりした人間とは、はっきりした目標を持っている人のことです。
ただ考えているだけで行動を起こさなければ山に登るどころか山に近づくことさえできないわけです。

アランはさらにこんな言葉を残しています。「誰でも求めるものは得られる。そして、欲しいものはすべて山と同じようなもので、私たちを待っており、逃げていきはしない。だがそれゆえに、よじ登らなければならない」と。

柴崎宣雄(しばざきのぶお)プロフィール
横浜市立横浜商業高等学校別科(理美容科)教諭。
主な著書:「ハートの経営」「オーナーになるための独立教本」「ヘアサロンのCS経営法」「増収増客戦略集」「なる本 理容師・美容師」「心の手帳」他。
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