日本理容美容教育センター

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おもためコラム

おもしろくて、ためになるコラムをお届けします。

言葉遣いも美しく

理美容院はお客様の外見を美しくするだけでなく、心もリフレッシュさせる気持ちの良い場所でありたいものです。
そのためには、お客様とのコミュニケーションが要になります。コミュニケーションを上手に行うためには、まずはきちんとした言葉遣いがポイントといえます。

バイト語の違和感

コンビニエンスストアやファーストフード店などで多用されるバイト語が問題になっています。若い人が慣れないなりに丁寧に話そうとして変な日本語になっている場合が多いようです。
例えば、飲食店などで、「以上でご注文よろしかったでしょうか?」と注文を確認されることがよくあります。 このように言われると、「もう、ご注文は済みましたね、追加や変更はありませんね!」とダメ押しされているようで、まだ注文したいものがあっても、その気が失せてしまうというお客様も多いようです。
この場合、「以上でご注文よろしいですか?」とたずねると違和感がなく、「そうね、あと○○もお願いしようかしら」とお客様も追加を頼みやすくなります。
理美容院でも、「今日はシャンプーだけでよろしかったでしょうか」「カラーはいつもの△△色でよろしかったでしょうか」などと過去形で確認してはいませんか?「△△でよろしいでしょうか」と現在形で確認すると、きちんとした言い方になります。
「○○円からお預かりします」というレジでの言葉遣いも、「変な日本語ではないか」としばしば指摘されています。お客様のクレジットカードを預かる時にも、「○○カードからお預かりします」と言ったりします。「○○円お預かりいたします」「○○カードをお預かりします」が正しい言い方です。
おつりを渡す時にも「千と五百円のお返しです」という言い方をする人がいますが、「千五百円のお返しです」がきちんとした言い方です。

乱れた言葉遣い

乱れた日本語も、お客様を不快にさせます。例えば、「こちらのヘアスタイルとかはいかがですか?」とアプローチしているスタッフがいます。本来「〜とか」は「○とか△とか」というように物事を並列する時に遣います。1つのことだけを話すのに「とか」は不要です。 「結構、お似合です」など「結構〜」も、失礼に聞こえる場合があります。「とてもよくお似合いです」など、「とても」「よく」などをつけた方が良い感じになります。
「今流行のスタイルじゃないですか」「お客様は髪質が柔らかいじゃないですか」など疑問符で終わる言い方も接客にはふさわしくありません。
今流行のスタイルですね」「お客様は髪質が柔らかいですね」がきちんとした言い方です。
ら抜き言葉も普段使っているとつい出てしまいます。「食べれます」「見れます」などと使ってしまわないよう気をつけましょう。
全然は、「全然〜でない」というように下に否定や打消しの意味を伴って使われる言葉ですが、「全然お似合いです」などと、言ってしまうことがよくあります。「大変よくお似合いです」「とてもおいしいです」がきちんとした言い方です。
「あしたは休まさせていただきます」という言い方もよく使われています。「さ」入れ言葉とも呼ばれ、本来、「休ませていただきます」というべきところに間違って「さ」を入れてしまうものです。敬語が苦手な人が間違いやすい言い方です。「読ませていただく」「置かせていただく」が正しい言い方なのに、「読まさせていただく」「置かさせていただく」と言ってしまうのも同様の間違いです。
お客様から「この店は明日もやっていますか?」と聞かれて、「明日は休まさせていただきます」と答えたりしないよう、注意が必要です。丁寧に話そうとして、「本日はお現金でお支払いされますか」などと「現金」に「お」をつけたり、「お名前様をいただけますか」など名前に様をつけたりするのも不要です。


こうしてみると、気づかないまま間違った言葉遣いをしていることは案外多いものです。気づかない本人は知らぬが仏ですが、お客様は気分を害したり、嫌な感じを受けたりしている場合も多々あります。正しい言葉遣いはお客様とのコミュニケーションの基本中の基本なので、十分に気をつけたいものです。
美しい日本語を身につけるためには、わからない言葉があったら辞書で確かめたり、数多く出ている日本語の本を読んだりして日頃から日本語力を磨くことをお薦めします。

長原紀子(ながはらのりこ)プロフィール
マーケティングコンサルタント。
(株)伊勢丹研究所勤務を経て、1995年(有)長原マーケティング研究所設立。企画・調査受注のかたわら、小売業を中心に研修・講演・執筆を行う。
著書に「だからわたしはこの店に行きたい」(監修:商業界)、「お客がわかれば売り方がわかる」(商業界)、「女性がつくる百貨店」(共著:ストアーズ社)、「ハートフルセールス」(繊研新聞社)。
青山女子短期大学非常勤講師(商品学流通論)。
経済産業大臣登録 中小企業診断士。
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