日本理容美容教育センター

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おもためコラム

おもしろくて、ためになるコラムをお届けします。

お客に選ばれる店づくりのために

理美容室の数は非常に多く、いつも他店との競争です。常に他店と比較して、他店を上回るサービスや環境を提供していくことが大切です。
理美容室と似た環境にあるビジネスとして歯科医院があります。歯科医院の数は、いまやコンビニより多く厳しい競争環境にあります。歯科医院では、医師の専門能力や技術だけでなく、顧客満足に力を入れないと顧客の確保が難しくなっています。
そこで、ある歯科医院では、受付係りや待合室にも十分に気を配り、患者さんの来院が楽しくなるよう様々な努力をしています。
理美容室においても、施術だけでなく、その前後のサービスやフォローを含めた顧客満足を提供することがとても大事になってきていると思います。

「自分だったらこうして欲しい」店にする

私が長年通っている美容室は、とてもサービスが行き届いていて、予約をとるのも大変なほど繁盛しています。
そのわけを美容師でもある女性社長に聞くと、「特別なことではなく、自分が行きたいと思うサロン」を作っているといいました。「私だったらこうして欲しい」と思うコトを一つ一つ積み上げて現在の店になったとのことでした。
この「自分だったら、こうして欲しい」ということを実現していくことは、顧客本位の店になる近道だと思います。
繁盛していないお店をよく見ると従業員の都合のよいように店を運営していることが多いようです。「自分がお客だったらして欲しい」ことは、従業員の都合から見ると面倒なことや、できればやらずにすませたいことが多いものです。お客本位を徹底しようとすると、従業員はいろいろ工夫しなければいけませんし、機敏に動かなければいけません。そのぶん、仕事は厳しくなります。しかし、そこがライバル店と差がつくポイントになるのです。

お客になってみる

自分自身がお客になってみると、お客の気持ちがよくわかります。
親から引き継いだ昔ながらの温泉旅館を数ヶ月先から予約しないと行けない超人気旅館にしたある温泉旅館の社長は、どんな宿が求められているかを知るために国内外の人気の宿に時間さえあれば泊まって良いところを研究し、現在の宿を作り上げたといいます。客の立場で宿泊するといろいろなことに気づきます。それを一つ一つ実現していくうちに、今の繁盛旅館が出来上がったということです。
小売業では、ストアコンパリゾン(店舗比較調査)をよく行います。競合店に実際に買物に行ったり、サービスを受けたりして、それを自店と比較分析します。ここで大事なことは競合店の弱点ばかりを見ることではなく、自店より上回っている点を見ることです。そして、自店では競合店をさらに上回る工夫やサービスを考え実施します。
理美容師の場合でも、日本だけでなく機会があれば世界の一流店や自店のビジネスモデルに合致した店でお客になる経験をすることはとても役に立つのではないかと思います。

自分の店を客観的に見る

営業店では、一日に一度、店の外から店を見ることも大切です。外側から見て、「看板、外観などにセンスの良さを表しているか」「店の前に、障害物などがなく入りやすいか」「清潔感あふれる感じの良い店に見えるか」「スタツフがきちんとした服装できびきび働いているか」などをお客の目線で見るのです。
一度仕事に入ってしまうと内側からしか店を見ることができませんが、お客様は外側から見てお店の印象を判断していることが多いからです。
特に環境の乱れなどは、慣れてしまうと気づきにくくなります。店内に従業員の私物などがだらしなくおかれていたり、雑誌なども古い号ばかりになっていたりしてはいませんか。気づかないうちに店が「雑然とした我が家」になってしまっている場合があります。理美容院は、職住隣接の場合も多いので、特に注意が必要です。


理美容室に、お客様はお洒落心を刺激され、美しい自分に出会いに行きたいと思っているのではないでしょうか。それには、わくわく感やときめきを感じさせてくれる店づくりが必要です。わくわく感やときめきは、センスの感じられる外観、整った室内環境、従業員の気配りや動き、言葉などから総合的に感じられるものです。
お客様に満足して帰っていただける、また行きたくなる店づくりを目指してください。

長原紀子(ながはらのりこ)プロフィール
マーケティングコンサルタント。
(株)伊勢丹研究所勤務を経て、1995年(有)長原マーケティング研究所設立。企画・調査受注のかたわら、小売業を中心に研修・講演・執筆を行う。
著書に「だからわたしはこの店に行きたい」(監修:商業界)、「お客がわかれば売り方がわかる」(商業界)、「女性がつくる百貨店」(共著:ストアーズ社)、「ハートフルセールス」(繊研新聞社)。
青山女子短期大学非常勤講師(商品学流通論)。
経済産業大臣登録 中小企業診断士。
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