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おもためコラム

おもしろくて、ためになるコラムをお届けします。

沖縄の色彩

沖縄と言えば、今や日本の南の端の島にして、自分で言うのもなんだがけっこう人気な島であるわけさぁ。その人気ぶりはいろんなジャンルに及んでいると思うのだけど、その一つに南国独特の色使いも入っているんじゃないかと自分は思っているわけ。
例えばその一つとして、沖縄の反物を染める技法に『びんがた染め』というのがあるんだけど、その反物から出来た琉球舞踊の衣装を見る限り、日本の中でこれほど単純な極彩色豊かな色使いと、大胆な柄の衣装は存在しないはず。ところが、それは実は人間だけに留まった話しではないさぁ。沖縄で周りを見わたすと花々もしかり、海の中に入ると熱帯魚もしかりなわけ。もう、その派手さたるや、例えば魚の種類で言うと同じカワハギという魚一種類とっても、黄色や青や白に黒と度派手な配色の柄をまとった物が目立つ沖縄のカワハギの種類に対し本土だと殆どがグレーに近い淡色のカワハギという歴然とした差があるわけさぁ。だけど、面白いのがどちらのカワハギも食べればその美味さは変わらないからねぇ。
それじゃ、なぜこんなにも色に差が出てくるのか不思議に思うでしょ。どうも、それは紫外線の量と関係していると自分は見ているわけさぁ。それを気づかせてくれたのが、田中一村(いっそん)の絵。天才日本画家の名を欲しいままに、若くして画壇(がだん)を離れ、栃木県出身ながらも鹿児島県の奄美大島に住みつき、そこで生涯創作活動を続けた孤高の画家であるわけよ。奄美大島と言えば、今だから鹿児島県だけど、歴史的に言うと廃藩置県前は琉球王国に属していて、その自然の豊かさは、いまでも沖縄と引けをとらないぐらいさぁ。
その一村の自然を対象にした絵はあまりにも素晴らしく、奄美には田中一村記念館もあるほど、ところがその一村の絵をよく観ると、そこに描かれている、動植物は沖縄のものとなんら変わりは無いのに、どの絵もその色の発色度が薄いわけよ。自分は以前それを観てこれは一村の画風だと思っていたのだけど、たまたま奄美に足を運ぶチャンスがあって、さらに山の中に入る機会がありその自然を観た時に初めて一村の絵の色の薄い理由がわかったわけ。実はそれは、そのまま奄美大島の自然の色自体が薄かったわけよ。でも、そこに見える動植物は一緒なわけよ。唯一違うとしたらその日差しの量さぁ。

もちろん、日差しと言えば紫外線と言う事になるから、田中一村は沖縄よりも少ない紫外線量に映し出される奄美の自然をそのままに紙に描き出していたわけさぁねぇ。それを知り田中一村の天才ぶりに改めて驚かされたさぁ。
今や、だいぶ時代は変わってきていて、例えば皆さんが南国沖縄に対してとても熱いイメージを持っているかもしれないけど、実は沖縄(那覇市)の最高気温(観測史上)は35.6度、今年の夏の沖縄の平均気温は28.1度だったのに対し、本土では猛暑で40度近い気温になる地域もあれば、夏の平均気温も東京の方が沖縄より勝っていたというから、世の中がイメージしていた暑い沖縄は何処に言ったのかという感じだけど。沖縄事態はさほど変わっていないわけで、本土が暑くなっただけさあねぇ。しかし、それでも沖縄を暑く思わせている大きな理由があるとすればそれは、その紫外線量の多ささぁねぇ。沖縄のオバァたちは昔から言ってました『殺人光線だよ。遊ぶときは帽子かぶって歩かんと』と。
そういうふうに色をはっきりくっきり見せる紫外線の下。もしかすると、熱帯魚たちは、くすんだ色や淡い色に紛れるのではなく、ハッキリした色に変化する事によって逆に自然の中に溶け込み、また鮮やかさは何か毒気もあって美味しそうにも見えないという効果も狙ってあの色に変化していったのかもしれないねぇ。
今や地球温暖化で日本全土が亜熱帯化しつつあるこの頃、そんな流れで考えると、地球温暖化がそのまま紫外線量を増やしていることとはつながらないかもしれないけど、あらゆるジャンルで日本人が日本人らしい独特のものをあみ出していく限りでは、南国傾向が強まる可能性は自然の流れかしれないねぇ。

最後に、髪についても少しふれさせてもらうけど、自分が子供の頃、世の中は丁度、学生紛争真っ盛りで若いパワーで日本を根本から変えたいという兄さんたちは揃ってロン毛だったよ。
ようするに、今思えばロン毛が世の中に対する反骨の主張でもあったわけさぁねぇ。ところが今や数少ないロン毛にはそんな主張もなさそうだし、それ以上にショート、もしくはスキンへッド(昔で言うところの禿げ頭)も多く、十分ファッションとして流通していて、どちらかというとそのスキンヘッドに主張を感じるほどさぁ。でも時代は多様性を帯びていて、染めるもよし、ドレッドもよしの世の中。だから、ヘアファッションから、人それぞれの主張が垣間見えるというのが個人的には好きだねぇ。それからすると、いま勇気を持って7:3分けにしている奴のほうが、もしかしたら時代が巡って、最先端かもしれないねぇ。まっ、7:3といっても常に時代は微妙に変化してるから、ウチのオヤジがバイタリス(知ってる人いるかなぁ?)を付けていた時代の7:3とは違うかもしれないけど。あの時代が戦後の日本の一番いい時代だったような気がするので、それとオーバーラップしていて、何か捨てがたいものがあるのかもしれない。それからすると、ホント!髪型も時代を映す鏡だよねぇ。

藤木勇人(ふじきはやと)プロフィール
うちな〜噺家(はなしか)。
1961年沖縄県コザ市生まれ。一人芝居とゆんたく(おしゃべり)で笑いを交えた舞台公演を全国各地で行っている。その他テレビやラジオへの出演、本やコラムの執筆など幅広く活動中。著書に「沖縄言葉ちょっといい話」(双葉社)など。
藤木勇人公式サイト「ゆがふ」http://shiser.jp/
藤木勇人の世果報(ブログ) http://fujikihayato.ti-da.net/
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